2017年さいたま市長選アンケート

さいたま市市長選挙に向け、立候補表明者に市民活動と市民活動サポートセンターに関するアンケート調査を行いました。

前島氏と清水氏の間で、市民活動サポートセンター条例の改正についての評価や、サポートセンターの指定管理者を市民活動団体に限るべきかどうかという点で意見が異なることが分かりました。

以下のアンケート結果の概要の表はサポセン利用者の会の作成となります。詳細は実際の回答をご覧ください。

※(2017年11月追記)中森福代氏から市長選後に回答を依頼しましたが、返答はありませんでした。


※ なお、中森福代氏は、「告示前まで非常に時間がない」ことを理由に、5月21日の市長選の投開票日以降に回答することを表明しましたが、その後の返答以来には回答を頂けませんでした。 アンケート依頼への中森氏の最初の返答はこちらとなります


1 さいたま市の市民活動全般について

2 市民と行政との協働について

3 さいたま市市民活動サポートセンターの役割について

4 さいたま市市民活動サポートセンター条例の改正について


※ 以下、回答は立候補表明順に掲載いたします。

2017年さいたま市長選アンケート

1

さいたま市の市民活動全般について

1-1

  • あなたは、さいたま市の市民活動についてどのような考えやビジョンを持っていますか?


前島英男氏回答

 市民活動は、「さいたま市市民活動及び協働の推進条例」の中で位置づけられ、行政と平等の立場で様々な課題について、市民の立場で行動したり、政策提言するものと理解しています。そのための活動の場の提供は行政の側で提供すべきと考えます。


清水勇人氏回答

 少子高齢化の進行や人々の価値観、あるいはライフスタイルの変化から、地域住民の交流の希薄化や地域社会の機能低下が懸念されている状況にある中で、防災、防犯、高齢者の見守り、子育てなど、地域社会に期待される役割は大きく、自治会のほかボランティア団体など、さまざまな市民活動団体に活躍を頂いている。

 私は市民の満足度向上のためには、行政だけではなく、さまざまな方との連携が必要と考えており、引き続き、さまざまな市民活動団体と連携していきたい。

1-2

  • 今後、さいたま市の市民活動がさらに盛んになっていくために、どのような政策や方法を考えていますか? 


前島英男氏回答 

 市民活動をより活発にするためには、より身近に活動を保障するための施設がつくられる必要があります。また、行政からの独立はしっかりと守られなければならないと思います。


清水勇人氏回答

 既にさいたま市では、自治会や市民活動団体への支援や、行政との協働による地域コミュニティーづくりのための事業に取り組んでおり、地域団体の皆さまの御意見などもできるだけ多く反映していくことを目指して、各区では対話集会などを実施しており、御意見や御要望等の把握に努めている。私自身も積極的に、地域団体の活動の現場、あるいは企業などを訪問した際に、さまざまな機会を捉えて地域の皆様の声を伺い、受けとめさせていただいているところ。

 市民活動団体の皆さまとさいたま市の間で、さまざまな機会や場を設定し、お互いの意見を交換することで互いの認識を高めていくことが必要だと考えている。

2

市民と行政との協働について

2-1

 「さいたま市市民活動及び協働の推進条例」には、「市民と行政は対等なパートナー」とあります。しかし、市民活動と行政との協働は、しばしば市民活動が行政の下請けとなるような関係性になってしまう場合があります。以下、こうしたことを踏まえて、質問にお答えください。

  • "対等なパートナー"としての市民と行政の関係をどのように作っていくべきか、さいたま市はこの関係を作るためになにをすべきか、あなたの考えを聞かせてください。


前島英男氏回答

 市民活動団体を行政の下請け機関としてではなく、対等平等の関係で行政の課題についてもこれらの団体の提言などを尊重し、積極的に行政の施策に生かしてゆく立場を持つことで市民活動がより活発になってゆくと考える。また行政としても市民団体に対しても公平に扱うことが大切に思う。


清水勇人氏回答 

 さいたま市が何をなすべきかという視点だけではなく、まさに"対等なパートナー"として、さまざまな機会や場において、市民の皆さまとお互いの意見を交換することで互いの認識を高めていくことが必要と考える。


3

さいたま市市民活動サポートセンターの役割について

3-1

  • さいたま市市民活動サポートセンターが今後果たすべき役割はなんだと考えますか?


前島英男氏回答

 市民活動に対して公平性を守り、活動の内容には介入することなく活動の場に徹することが重要に思う。


清水勇人氏回答

 自治会のほかボランティア団体など、さまざまな市民活動団体がさまざまな課題に取り組む際に、①市民活動に関する活動の場の提供 ②市民活動に関する交流の促進 ③市民活動に関する情報の収集及び提供 ④市民活動に関する相談 ⑤市民活動に関する学習の機会の提供 などを行うことが役割と考える。

3-2

 市民活動サポートセンター(以下、サポセン)の設置当初は、サポセンの指定管理者は市民活動団体に限定されていました。しかし、2015年6月に「さいたま市市民活動サポートセンター管理運営要領」から第3条「協働管理運営を行うための法人その他の団体として市民活動団体を指定するものとする」が削除され、企業や市の外郭団体も指定管理者になることができるようになりました。
 指定管理者が市民活動団体に限定されていたのは、サポセンが市民と市の協働によって運営をされるという理念を実現するためでした。また、市民活動のエキスパートによってサポセンが管理・運営されるということには一定の有効性があったという主張もあります。

  • あなたは、サポセンの指定管理者が市民活動団体に限定されずに企業や外郭団体も参入できるようになったことをどのように評価しますか?


前島英男氏回答

 サポートセンターの指定管理に企業や外郭団体等も参入できるようにしたことには反対です。市民活動を支援するというサポートセンターの性格上、指定管理するのであれば市民活動団体で、非営利の団体等にすべきものと考えます。


清水勇人氏回答

 特定・既存の団体等にとらわれない、さまざまな経験・実績を持った指定管理者による運営が可能となることから評価している。


3-3

 市民活動サポートセンターは、"市民活動を支援し、その活性化を図るため"(さいたま市市民活動サポートセンター条例より)という設置目的からも、運営者に市民活動への理解や知識、経験が必要であることは明らかです。
 なお、さいたま市の直営下においては、制度上、委託先を毎年一般競争入札することとなり、市民団体との人間関係やノウハウの蓄積が困難になる可能性があります。その結果、高い専門性を有する市民活動支援施設としての機能の低下の恐れがあります。実際、2017年4月の年度替わりにおいて、1年間の経験を積んだ委託スタッフの多くがサポセンを離れることとなりました。

  • 市民活動についての理解や知識、経験があるものがサポセンを運営するために、どのような方法を考えていますか?


前島英男氏回答 

 公共施設を運営するためには、市の直営で運営の委託を受ける方法と指定管理者制度しかありません。委託化で市民活動の経験する団体を指定する委託化は難しい。指定管理者制度の活用しかないと思います。


清水勇人氏回答 

 特定・既存の団体等にとらわれず、社会の変化に柔軟に対応でき、さまざまな経験・実績を持った上で、さいたま市の実情を踏まえた指定管理者による運営を期待したい。

4

さいたま市市民活動サポートセンター条例の改正について

4-1

 サポセンは、2007年の設立以来、市民活動団体によって管理・運営がなされてきましたが、2016年4月からさいたま市の直営下にて運営されています。これは、2015年のさいたま市市民活動サポートセンター条例の改正によるものです。
 そもそも指定管理者制度下でのサポセンは、利用者の声のみならず、第3者機関(東京海上日動ファシリティーズ株式会社)の調査でも高く評価されました。
 一方で、市の直営による運営下では、例えばサポセン主催のイベントやセミナーの開催が少なくなり、活動相談件数の減少、毎年恒例のイベント(サポートセンターフェスティバル)の参加団体や来場者数が大きく減少するなど、サポセンの機能低下が懸念されるデータが示されています。

  • 約8年半にわたる市民活動団体によるサポセンの管理・運営をどう評価しますか?


前島英男氏回答 

 市民活動団体によるサポセンの運営は高く評価しています。サポセン利用団体が飛躍的に増え、自由な活動が保障されたと考えております。


清水勇人氏回答 

 さいたま市議会の議論の中で、指定管理者制度により管理運営が行われてきた市民活動サポートセンターの管理運営状況について、不適切な点があることが確認されたとの指摘があった。合わせて市が指定管理者に委託するに当たって、その管理基準が適切に整備されていなかったことに問題の要因があったとも指摘されている。

 この見解に基づいて、より適切な管理運営が行われるよう指定管理者の指定にあたっての施設管理の基準、その他必要な事項等の見直しを図るとともに、より多くの市民団体が平等に利用できる機会が確保されるよう、関係条例等の見直しを含めた措置を早急に講ずることを目的として条例の改正をおこなったと理解している。

 私は議会からの指摘について真摯に受け止めた上で、従来の市民活動サポートセンターの運営は、市民の福祉が最大限に増進され、設置目的に沿った運営がなされていたと認識している。

4-2

  • 2016年4月からのさいたま市直営下の管理・運営をどう評価しますか?


前島英男氏回答

 市の直営になった経過から見ても市民活動団体の活動に様々な制約が持ち込まれることを危惧しています。そのことを十分検証する、その上で運営の在り方を検討すべきです。


清水勇人氏回答

 来館者は従来と同じ数で推移しており、窓口利用者アンケートにおいても、サービス低下の事実関係が確認されていないことから、利用者のニーズに沿った管理・運営が行われているものと認識している。

4-3

 2015年のさいたま市市民活動サポートセンター条例の改正のきっかけの一つになったのは、2015年10月5日のさいたま市議会決算・行政評価特別委員会において「登録団体が政治活動をしているのではないか」という質問があり、憲法九条や原発、拉致問題などを扱う団体など14の団体の名簿が配布され、サポセンの運営が批判されたことです。
 このことは、条例改正そのものと併せて、多くのマスコミに取り上げられ、全国の市民活動団体などが抗議の声をあげるきっかけとなりました。
 そもそも、「さいたま市市民活動及び協働の推進条例」では、政治上の主義や選挙に関わる活動以外の政治的な活動(いわゆる"政治上の施策"に関わる活動)は市民活動から除外されていません。

  • もしあなたが市長になった場合、議会等で同様の質問があったならば、どのように答えますか?


前島英男氏回答

 「さいたま市市民活動及び協働の推進条例」の規定する市民活動の規定は正しいものであり、市民活動を政治活動として規制することは、条例の規定にも反するものと考えます。


清水勇人氏回答 

 前提や状況等に変化がない場合は、従来の答弁と同様。

4-4

 2015年10月のサポセン条例の改正は、サポセン運営上の問題として、市議会にて「(特に"政治活動をしている団体"など)サポセンを使用してはならない団体が優先的に使用している」という指摘があったことがきっかけです。

 しかし、条例改正後の市の調査や当時の指定管理者による報告により、一部の団体の優先利用は存在しなかったことが明らかになりました。

  • あなたは、サポセン条例の改正は適切なものであったと考えますか?


前島英男氏回答

条例の改正は適切なものではありません。


清水勇人氏回答

地方自治法第96 条による適法な議決と認識している。

4-5

  • サポセン条例によると、「管理の基準その他の必要な事項を定めるまでの間」(条例の附則2)に限って指定管理制度を停止しています。あなたは、早急に指定管理制度を再開すべきだと考えますか?


前島英男氏回答

 直営にしたことによる運営の検証を十分行った上に、指定管理者制度の移行を検討すべきです。


清水勇人氏回答

 議会からの指摘事項や、今後の市民活動サポートセンターの管理基準策定の方向性として、市民の福祉が最大限に増進され、設置目的を効果的に発揮するものとなるような施設利用上のルールを検討する必要があることから、一定の時間は必要と考える。

4-6

  • 今後、サポセンはどのように管理・運営されるべきでしょうか? あなたの考えを教えてください。


前島英男氏回答

 サポセンは、「さいたま市市民活動及び協働の推進条例」の長期間の審議を経て、決められたものです。運営の在り方については、それらの議論をしっかり理解した団体が運営にかかわることが重要と考えます。その原則の上で管理、運営の在り方を検討します。


清水勇人氏回答

 私は議会の指摘については真摯に受け止めた上で、市民活動サポートセンターは、市民の福祉が最大限に増進され、設置目的を効果的に発揮することが出来る管理・運営を目指していきたいと考える。